ブロ友のナベヲさんが、SR400の中古車が高騰して「落ち着け!」って記事を書いていて、そこに出てくるSR400のファイナルエディション・リミテッドの価格を見てびっくりした。
なんと170万円!!
ボンネビルT120が新車で買えるよ・・・本来、SRの新車価格は60万ぐらい。リミテッドだって75万だ。
40年前に発売され、ほぼその姿を変えずに作り続けられてきたSR400。度重なる排ガス等の規制に対応できずに、惜しまれつつ生産終了が決まり、もう新車でSRが買えなくなるとなった途端に人気に火がついた。
1000台限定のリミテッドは、一瞬で販売台数の上限に達したらしい。通常のファイナルエディションもすでに予約は打ち切られている。
そして、新車が買えなくなるとその矛先は中古車に向かう。比較的年式の新しいFI車のSRは軒並み新車価格並みの値段がついている。
中古車の値段というのは、需要と供給で決まる。その値段を付けても買う人がいるということだ。
ただ、ナベヲさんの記事にもあるけど、やっぱりSRはSRでしかない。パワーは無いし、振動は激しいし、エンジンの始動はキックのみ。ブレーキだってABSもついてないどころか、リヤブレーキはドラムだし、フロントブレーキだって決して効きやタッチがいいわけでもない。それがツボにはまる人はいいが、単に流行や雰囲気で買ってしまったり、初心者だから軽くてパワー控えめなSRぐらいが丁度いいと選んだりしたら、まったく乗り手に優しくない、むしろ我慢を強いるSRに手を焼いてすぐに手放してしまうだろう。
何台もバイクを乗り継いだ自分は、それを全て知った上でSRを選んだ。SRを選んだことに1ミリの後悔もない。実際乗っていて楽しかった。
ただ、長距離ツーリングで使うにはパワーが足りなさすぎる。それは正直な感想。高速道路での緊張感と走った後の疲労感は半端じゃない。やっぱり大型バイクには敵わない。大型のパワーは魅力だ。高速だって安定している。そこで、行き着いたのがボンネビルだ。
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トライアンフ・ボンネビルT120を契約したとき、乗っていたインターカラーのSRは売らずに2台持ちしようと思っていた。ヤマハ誕生60thの限定車だったインターカラーのSRは特に希少だ。それにあれこれ手を掛けてきたし、カスタムもしてきた。自分だけの1台だ。
しかし、その維持費等を冷静に考えるとかなり厳しい。
ボンネビルT120は、見た目はクラシカルだが、中身は最新の機能が備わっている。それでいて乗り味は、270度クランクのバーチカルツインで、SRに引けを取らないほど充分に鼓動感もある。きっとSRの出番はかなり少なくなるだろう。
そしてSRは手放す決断をした。もちろん、SRの価格が高騰しているのは知っていたし、この先、ずっと人気で高値を維持するとは限らない。タイミング的には、いまが一番高値で売れるタイミングだと思った。
通常の下取りや買取は、実際売られている金額で買い取ってくれるわけではない。販売価格が70万円で売られていいる3~4年落ちのSRだって、実際の買取や下取りは35万円から40万円ぐらいなもんだ。これでも、いまのSRの人気があるので高い方だ。通常であれば20万~30万ぐらいがいいところだろう。お店だって、利益を出さなければならないので、買い取ったり下取りした価格に、販売にかかる経費や管理料などに利益を乗っけて店頭販売価格を決めている。
高く売るんだったら、ヤフオクなどの個人売買がいいかもしれないが、名義変更や納車の手配など、全部自分でやらなければならないし、買い手の素性もわからず、どんなトラブルが起きるかもわからない。
そこで、自分が選んだのが「委託販売」という方法だ。自分の売りたい値段をお店に伝え、お店はその値段に経費や利益を乗っけて販売価格を決め店頭に並べる。それで売れれば、自分が指値した金額が手元に入ってくるという仕組みだ。ただし、あまり長期間売れなければ指値を下げてもらうか、通常の買取を打診されるらしい。
自分が買ったSRは、全国チェーンの某大手バイク販売店で、そこなら、全国のお店で車両情報が共有され、全国で販売できるので比較的売れやすい。
だったら、多少安くなっても、お店を通して売った方が安心だし、下取りや買取より希望の金額で売れる。
バイク屋の店長に、SRを買ったときと同じ値段で打診した。ちょっと欲張ったかなとも思ったが、店長も「その価格だったら行けるでしょう」と言ってくれた。
ちなみにどんな車両でも委託販売を引き受けてくれるというわけではない。ある程度人気があって程度もよく、確実に売れる車両のみ引き受けてくれるらしい。ちなみに自分のSRはこのお店でメンテも車検もお願いしているので、その履歴も車両の状態も把握しているのでお店側としても安心ということもある。自分もパーツの欠けや傷などネガティブな部分も包み隠さず伝えた。それでも状態はかなりいいはずだ。
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そして、しばらくして「買い手がつきました」と連絡があった。
実際、売れた価格は新車以上の値段だ。過去乗り継いできたバイクで、はじめてプレミアのついたバイクだ。
「とうとう売れたか・・・」
北海道の大地をともに走ったSR。思いでもたくさんあるし愛着もある。なんだか、ちょっとだけ寂しい気持ちになった。ただ、これも自分で決断したことだ。後悔はない。いやちょっとだけ惜しいような・・・金さえあれば(爆)。
願わくば、次のオーナーが大事に乗り継いでくれることを祈るだけだ。