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「新しくガソリンエンジンのスポーツカーを作れるのはあと2〜3年」【新型スープラ】開発責任者多田哲哉の講演を聞いて考えたこと Vol.2

 

 

 

 

*Vol.1 はこちらから ⬇︎

 

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スポーツカー設計の思想

 スポーティーなクルマというのがあります。例えば日産NOTEのnismoバージョンだったり、トヨタのGRシリーズだったり。こういうクルマは足回りを固めてシートをバケット風にしたり、エアロパーツで装飾して、それなりの雰囲気とセッティングは出しています。ただ基本的には家族(同乗者)を乗せたり荷物を載せたりする前提で設計されたクルマですから限界も低いですし、ちょっとどんくさかったり本気の走りには対応していません。スポーティーなクルマに乗りたいけど、実用性は犠牲にできない人にとって現実的な選択肢としてはアリだと思います。

 

一方でBRZに乗ってみて思ったのは、スポーティーな味付けのクルマとスポーツカーとして設計されたクルマは別物だということです。低重心のフォルムは、もう乗降性なんて考えていません。BRZは一応4シーターですけど、大人4人で出かけるのはほぼ不可能です。カップホルダーの位置や数、ティッシュの箱が収納できるとか、一般のドライバーが求める機能はほぼありませんし、燃費だってそれほどよくありません。

 

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BRZのリヤシートは、ほとんど足を入れる隙間がありません

 そのかわり、走る、曲がる、止まるというクルマの基本動作を高い次元までコントロールできます。こういうところにはコストもかかっています。ミニバンだったらひっくりかえるんじゃないかという速度でコーナーを曲がっても、ほとんどロールしないで路面に張り付くように曲がっていきます。

 

直進安定性も高く、速度が出ても緊張感はありません。エンジンのレスポンスもよく追い越しや追い抜きも意のままです(無茶はしませんよ)。

 

もう楽しくて仕方ありません。

 

これまでバイクでスポーツ走行を楽しむことはあっても、いままでクルマというのは移動の手段という要素が強くて、ドライビングを楽しむクルマに乗ったことがありませんでした。BRZに乗り換えてからその楽しさを知って、なんだか今まで随分と損をしてきたなぁ〜 という気持ちになります。

 

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ブルさんバイクで本気の走り!

 

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新型スープラの設計上でベンチマークしたのはポルシェの『ボクスター』/『ケイマン』。FRでそれに近づく、あるいは超えるクルマにしよう、と目標を定めましたといいます。

 

そこで、「ショートホイールベース」「ワイドトレッド」「低重心」の3つのコンセプトを突き詰めたと言います。

 

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出典:トヨタ スープラ | 燃費・走行性能 | トヨタ自動車WEBサイト

 

ホイールベースをトレッドで割った数値が一つの基準となるそうですが、スープラの場合1.55になるそうです。これはポルシェのケイマンと一緒といいます。86/BRZは1.65で、ホイールベースはスープラの方がショートです。

 

スープラと86/BRZの諸次元の比較です。

  スープラ 86
ボディサイズ 全長4,380ミリ
全幅1,865ミリ
全高1,290ミリ
全長4,240ミリ
全幅1,775ミリ
全高1,320ミリ
ホイールベース 2,470ミリ 2,570ミリ
車体重量 1,410~1,520kg 1,210~1,270kg
エンジン 2リッター直4ターボ
3リッター直6ターボ
2リッター直4自然吸気
出力 197PS/258PS
340PS
207PS(ATは200PS)
駆動方式 FR FR
トランスミッション 8AT 6MT/6AT
価格 4,900,000円~
6,900,000円  
3,423,600円~
4,968,000円
定員 2名 4名
サスペンション F:マクファーソンストラット
R:マルチリンク
F:マクファーソンストラット
R:ダブルウィッシュボーン

個人的には、スープラの一番安いグレード買うなら、86/BRZの一番高いグレードの方が楽しめそうですし、満足度も高そう。スープラのSZはカスタムやチューニングカーのベース車両といったところですね。

 

そういえば、スープラにマニュアルの設定がありません。スポーツカー好きからすれば「マニュアル出してくれよ!」と絶対声が上がるはずで、実際会場からも質問がありました。多田さんはスープラにMTの設定がないのは86にマニュアルがあるからだといいます。もう最新のスポーツカーにおいてはH式のマニュアルでそのクルマのポテンシャルを引き出せません。今やフェラーリもランボルギーニも2ペダルです。マニュアルも試作したようですが、速くスムーズに走らせるという意味ではマニュアルではスポーツATに敵わないそうです。

 

 実際、自分のBRZは6ATですが、かなりスポーティな走りにも対応できると感じています。

 

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スポーツカーは軽さが「命」 

 

スポーツカーがスポーツカーであるためには、上述の「走る、曲がる、止まる」をドライバーの意のままにコントロールできるかどうかなのですが、その基本性能を高めるには「軽さ」が一番の要素となります。

 

多田さんの講演で会場から「軽量化するためにどんな工夫をしていますか」という質問に対し「軽量化はまずクルマのサイズを小さくすること」と答えていました。

 

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多田さんが会場まで乗ってきたスープラが展示されていました

 

スープラの重量は直4のSZで約1400㎏、直6のRZで約1500㎏です。ちなみに、クラウンの2リッターターボエンジンのグレードで1800㎏ぐらい、アルファードだと軽く2000㎏を超えてきます。

 

86/BRZは1210㎏〜1270㎏とかなり軽量に仕上がっています。乗って最初にアクセル開けた瞬間に「軽い!」って言葉に出たくらいですから。

 

昔のクルマが今でも走り屋さんの間で人気なのは、軽量で簡素だからだと思います。AE86だと1000㎏ぐらいなのかな。昔の車ほど余計なものが付いていないので(昔乗っていたKP61はパワーウィンドやパワステ、リモコンミラーとか全部付いていませんでした😅💦)、そこそこ走ったもんです。

 

スープラの場合、衝突安全基準をクリアしながら軽くするために、フロントのフレームや足回りのブロックはアルミ製です。リアの足回りはコストの関係でスチールになったそうですが、スープラぐらいの大きさであれば、やろうと思えば1000キロ程度で作れるそうです。ただ、衝突安全や環境規制などが厳しくなって、さらに安全運転支援システムなどいろいろな装備や装置を施さなければなりませんから、どうしても重くなってしまい、規制の関係もあって年々スポーツカーが作りにくくなっていると言います。

 

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出典:トヨタ スープラ | 燃費・走行性能 | トヨタ自動車WEBサイト

 

ちなみにフレーム剛性は86/BRZの2.5倍。RZの馬力が340馬力ですが、まだまだパワーアップしてもそれを受け止める余裕がありそうです。サイドフレーム(ドアの下にあるフレーム)は、横幅が500ミリのペットボトルを横に置いたぐらいの太さだそうです。とっても乗り降りしにくく、雨でもふればズボンが濡れてしまいます。トヨタ基準であれば絶対NGらしいのですが、スープラはいろんな意味で治外法権だったと笑ってました。

 

ちなみにパワーアップするということは、どれだけ冷やせるかという熱処理もセットで考えなくてはなりません。スープラは、オイルクーラーを設置するスペースや各種ダクトの増設などパワーアップするための余白を設計上かなり残してあるといいます。

 

 ガソリンエンジンでスポーツカー作れるのはあと2〜3年ぐらい

 

今どきのクルマは、燃費の評価が市場に大きな影響を与えます。低燃費は経済的にも環境的にも自動車メーカーに課せられた義務みたいなものです。

 

そんな中でスープラには、燃費目標がなかったといいます。「スポーツカーが燃費を気にしてられるか!」とまではいいませんでしたが、メーカーごとに割り振られているCO2の排出基準で、トヨタはハイブリットなどのエコカーを多く出しているので、排出量の枠の余裕があったからスープラは燃費を気にせずに作れたそうです。

 

実際、スープラはアクセル戻してもガソリンを吹いていて「ボボボボー」とアフターファイヤーが出るようになっています。「無駄にガソリンを消費している」と多田さんは笑っていましたが、燃費はセールスにも大きな影響がありますし、燃費偽装するメーカーもあるぐらいですから本来ありえない仕様です。

 

「こんなクルマは、あと2〜3年もすると作れなくなるでしょう。年々規制は厳しくなるし、ガソリンエンジンだけでその規制をクリアすることはできなくなると思います」

 

確かに、ホンダのNSXはモーターを併用しているし、何よりF1だってハイブリットです。そう考えると、スープラは最後のガソリンエンジのピュアスポーツになるかもしれません。

 

日産のGT–RもフェアレディZも随分フルモデルチェンジしていませんが、現実的にガソリンエンジンで現行のパワーを維持しながら環境規制をクリアするのが難しいのではないでしょうか。

 

86/BRZについては次期モデルの開発が始まっていると思います。ただ、多田さんの話を聞いていると、環境や騒音、安全衝突などの規制をクリアするために、今のような軽量の86/BRZは作れない気がします。さまざまな安全装備が付いてくるでしょうし、環境性能などを考えると、触媒など余計な装備が追加されてくるでしょう。エンジンのパワーアップを図るために排気量を2.4リッターするという噂もありますが、そうなれば重量増も免れません。

 

そう考えると86/BRZがモデルチェンジすれば、現行の軽量で簡素な部分はスポイルされてしまいます。

 

マツダCX–3に乗ったとき、もうこれでもかというぐらい電子制御や安全装備が付いていて、最初こそ「スゴイ!」と喜んでいましたが、ちょっと車線跨いだだけで「ピッピッ」と電子音が鳴り正直鬱陶しかったです。いちいちエンジンが止まるアイドリングストップはオフにしていたし、オートワイパーはタイミングよく動作してくれない、電動パーキングやオートパーキングは余計なことしてくれました。

 

BRZは最新の安全装備はないけど、自然に運転できるし、変にクルマが介入してくることはありません。クルマからの反応がダイレクトに伝わってきます。

 

これからは、なんでも自動になって、最後は自動運転(レベル5)に向かうでしょう。

 

そうなると、もう現行の86/BRZが令和時代に新車で買える平成時代(やや昭和テイストも入っている)の最後のスポーツカーになるんじゃないかと思います。スープラもいつかは消える運命を背負ったガソリンエンジンのピュアスポーツなのでしょう。今のスープラや86/BRZが欲しい人は早めに買っておいた方がいいかもしれません。

 

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自分はBRZを大事に乗ります。

 

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