朝、めずらしく息子が朝早くからスーツに着替えて起きてきた。
そういえば、春から就職することになった会社の社長と面談すると言っていたのが今日だった。
寝癖がついた頭を見て「髪の毛ぐらいちゃんとしてからいけよ」って言ったら「あたりまえやん。これで行くわけないだろ」と怒られた(笑)
ようやく春から社会人。単位が足りなくて1年留年しているからちょっと出遅れたけど「いよいよ社会人になっていくんだな」とうれしくも思うし、もうすぐ親としての「責任」という名の重い荷物を下ろすことができるので、ちょっとホッとしている。
勤める会社は自宅からクルマで30分ぐらいだから、当面は家から通うみたいなので完全に独り立ちというわけでもないけど、食費や光熱費相当は入れてもらうし、留年分の学費はしっかり返していただきます(笑)
※最初に学費は4年分しか出さないと約束した。
子どもを育てて思うのは、男の子はやっぱりたくましく育ってほしいというのがある。別に肉体的にムキムキなってほししいというわけではなくて(そこは並でいいから)、どちらかと言えば精神的なタフさみたいなものだ。
ちなみにムスメは別だ。ジェンダーがどうのこうのとか、なんと言われようが(笑)。
息子には、どんな形であれ社会で成功して欲しいし、成功するには精神的な強さが必要だ。ちょっとのことでこころが折れていては自己肯定感が低くなって成功どころの話じゃなくなる。辛いと逃げたり、問題を避けたりばかりしていると、そのうち行き場を失ってしまう。
小説やドラマで「辛かったり困ったことがあったらいつでも戻ってきていいんだよ」とよく母親が息子に涙ながらに声を掛けて送り出すシーンがあるけど、それは最後の手段であって、その前に問題を自分で解決するスキルを身につけることが大事だ。
社員でも問題解決能力が低くて、どうにもならない人もいる。問題を放置してにっちもさっちもいかなくなって、結局こっちが尻拭いをさせられるのだ。問題が起きるとどうしていいのか、次に何をすればいいのかがまったく考えられないみたいだ。
もちろん採用した責任もあるし、本人が辞めると言うまで放り出すわけにはいかないので、なんとか仕事が出来るようにあれこれ指導するのだが、大人になると人はなかなか変われないものだし、成長の速度も遅い。
8050問題といわれている中高年の引きこもりが社会問題となっている。80歳の親が50歳の引きこもりの子どもの面倒を見ている家庭のことだ。
本人ばかりに責任があるわけではないと思うし、子どもが困っていればなんとかしてあげたいと思うのが親心だ(世の中「毒親」というのもいるらしいが、その話は別の機会に)。
しかし誤解を恐れずに言えば、成人してしまえば子どもであっても大人として扱うべきだし、盲目的に庇護すべきではない。必要なのは精神的なサポートであり、時には突き放すことも必要だ。逆に年取って自分が動けなくなったり、認知症になったとしても、物理的に子どもの世話になろうとは思ってもいない。精神的なサポートさえしてくれればいい。お互いが自立している関係がいい。
自分はそう思っている。
たぶん、息子もこれから社会に出ればキツいこともたくさんあるだろうし、いくつもの試練もあるだろうけど、そこを乗り越えることで見える世界もあるし、たどり着ける場所もある。だから息子には、精神的なタフさだったり、問題に立ち向かって行くぐらいの気概が欲しいし、そういう育て方をしてきたつもりだ。
昔、自分が30歳の時にスタートアップしたばかりの会社に転職しようとしたとき、自分の父親は、“本当にやっていけるのか? 妻も子どももいるんだぞ。養っていけるのか?”と、とても心配してくれた。
もちろん自分自身にもまったく不安なかったわけではない。が、元の会社で出来上がった組織にいるより、自分がこの会社を大きくして成功するチャンスであるとも思った。
それから十数年経って、会社も順調に伸びて役員にもなった。そのことを親父に報告すると、すごくうれしそうな顔をしていた。
だから、今日、スーツ姿の息子が少しだけたくましく見えたとき、図らずもうれしい感情がこみ上げてきたのだ。
まだまだ彼の人生は長いんだけどね。
なんか年取ったなぁ~ おれ(爆)