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はじめて息子とサシ飲みした話

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去年の秋頃。息子が会社を辞めて、次の仕事も探さずにパチスロで稼いで生きていくって話になって家を追い出したことは、以前の記事で書いたこと。

 

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あれから半年以上が過ぎた。

 

一度だけ、何か荷物を取りに来たときに鉢合わせた以外は顔を合わせていない。

 

その息子と健康保険の手続きのことで連絡をとることがあり、「まあ、一度酒でも飲みながら話をしよう」と言ったら、意外とあっさり「わかった」と返事があり二人で飲むことになった。カミさんとムスメは不在にしてもらったので、本当にサシ飲みだ。

 

持ち帰りの寿司を買ってきて、チキンのトマトソース煮なんか作ってみる。あとは簡単なつまみとビールとチューハイを用意して息子が来るのを待った。意外と楽しみにしている自分がいる。

 

なんだかんだ言っても、息子のことは気になるのだ。

 

この日は、説教臭い話はやめようと思っていた。まずは、彼の話を聞こう。そのうえで、否定せず、彼のこれからを一緒に考えようというスタンスで臨んだ。

 

*  *  *


この半年間、毎月28日出勤していたという。

 

「出勤?」

 

「そう。出勤。だって仕事だもん」

 

なんだかね~ (^_^;

 

それでも、出る店、出る台の情報をあれこれ集め、朝早くから並ぶそうだ。ときどき関西方面まで出張するらしい。フツーに仕事するより大変じゃない。

 

友だちだけには恵まれているのか、寝る場所はあちこち友だちの部屋に泊まったり(彼は女の子にも人気があるようでうらやましい・・・)、ネットカフェで夜を過ごすこともあるそうだ。

 

大変と言えば大変だけど、毎日、会社に行って上の指示に従ってやりたくもない仕事をやらなければならない会社勤めより、よっぽど自由でいいらしい。

 

確かに、その自由さは魅力かもしれない。それに彼はパチスロというか、ゲーム全般が好きみたいだ。好きなことで稼げる。だったら、そういう暮らしもありなのかもしれない。

 

自分みたいに、大学を卒業して、そのまま就職し、結婚して、子どもが生まれて、家をローンで買って・・・みたいな昭和(実際は平成が長いけど)の価値観というか、スタンダードから遠く離れた彼の暮らしは理解できない部分もあるが、もし、自分が今20代だったら、これまで自分が歩んできたような道は選ばないだろうな、とも思う。

 

自分が過ごしてきた時代はある意味運がよかった。就職するときはまだバブル景気が冷める前で景気がよかったし、最初に勤めた会社の上司も先輩も同僚にも恵まれ、何より仕事自体も楽しかった。偶然入った会社がたまたまよい会社で、仕事の内容も自分に合っていて、キャリアを積めて、今の会社から声がかかり、ほぼスタートアップからここまで来れたのは、努力だけで叶うものではない。時代の流れに乗って運がよかっただけだ。

 

今の時代、会社勤めに夢は持てないのもよくわかる。そもそも誰でも入れる、またはスポーツ推薦で入学したはいいが大して活躍もできなかった大学卒業ではまともな会社の正社員になること自体難しい。門戸が開いているのは人手不足できつい仕事の会社ばかりだ。一部のエリートや少数の専門職のみが、社会的ステータスの高い高級(高給)な椅子に座ることができる。30年以上働いてきて現実を目の当たりにしてきたから、息子に「まっとうな会社員になれ」とは言えないわ。

 

だったら、自分のアタマで考えて、自分で稼ぐ道を探すしかない。

 

 

 

*  *  *

 

会社を辞めてパチスロだけで稼ぐのを「専業」というらしい。彼の専業生活の話は、自分の知らない世界の話ばかりだった。

 

ただ、その世界も厳しいようで、専業で稼いでいた仲間も、ひとり、またひとりと消えていったり、稼げなくてアルバイトをしたりして暮らしているようだ。

 

その中で息子は「専業」で続けられるのだから、ある意味大したもんだ。

 

「本当にやりたいことはないの?」

 

「お父さんは、大学に進学するときとか、就職するときとか、やりたいことはあったの? どんな道に進むか決めていたの?」

 

「どうして? なぜ、そんなこと聞く?」

 

「だって、高校生ってまだ子どもじゃん。何にも知らないし、そんな将来やりたいことなんて決められないよ」

 

「高卒で就職した同級生なんて、学校に言われるままの会社に入って、毎日、工場で朝から晩まで同じ作業繰り返して、それで月17万しか稼げないってぼやいている。みんな辞めたがっているよ」

 

「そうだよなぁ」

 

そこから、なぜ自分が進学した大学(学部)を選んだのか、そもそもなぜ、大学に行きたいと思ったのか、そして大学生の時に経験したこと、そこから今の職業を選んだことを話して聞かせた。

 

自分はあまり勉強ができる方ではなかったが、高校生のころは社会的な関心が強かったし、本もよく読んだ。大学も受験戦争なんていわれたぐらい競争も激しかったから、大学も簡単には入れてくれない。目的のために受験勉強もがんばった。

 

そして当時はインターネットも携帯もない時代で、知識は本から得るか、その道の人から直接聞くしかなかった。ある意味情報収集の手段と目的は主体的だ。そういう中で、大学でこんな勉強がしたい、将来はこんな仕事がしたいと気持ちが固まっていった。

 

インターネットから得られる「知識」は誰もが知ることの出来る既成のものだ。そしてインターネット上の情報は玉石混淆で感情に流されやすい。ある意味溢れる情報の消費者であり客体的なのだ。そこから「知恵」は生まれないと思っている。

 

もちろん、いまの子ども(高校生ぐらい)たちの方が、モラルも意識も高いし、インターネットやSNSを駆使して、自分の頃と比べればよっぽどスマートだ。ただ、その弊害もある。たくましさが足りないと思うこともあるし、情報を鵜呑みにして流されやすい気もする。

 

*  *  *


散々飲んで真面目な話やくだらない話は夜中の3時まで続き、「もうお父さんあかんわ・・・」と言ってベッドに潜り込んで3秒で眠りに落ちた。

 

結局、彼はやりたくもない仕事をするより、好きなことをやって暮らしたいということみたいだ。専業は、もうそれほど長くはできないみたいなので、稼ぐだけ稼いで、ポーカーのできるバーみたいなお店をやりたいらしい。自分はまったくギャンブルをしないのに、誰の血を受け継いたんだろう(笑)

 

ま、それならそれでいいけど。彼の人生だし。

 

 

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