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「自分らしく生きる」難しさと覚悟について考えた話

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よく、歌の歌詞に

 

「私らしく生きる」

 

「自分らしく生きていく」

 

なんて言葉が出てくる。

 

「自分らしく」とか「私らしく」の「自分」や「私」っていうけど、ほんとうの自分自身はわかっているようでわからないことも多い気がする。

 

他人から影響される「自己認識」というのがあって、「あの人は優しい」とか「冷たい」とか「メンタルが強い」とか「弱い」とか、普段人と接するなかで作り上げられる「人格」みたいなものを「自分らしさ」と認識して、そのように振る舞うことってない? 

 

なんとなく、それはそれで息苦しい。たとえば本当は「優しく」なんてないのに「優しいふり」をするのはしんどいもんだ。

 

それにさ。たとえば自分の場合、会社員(役員)としての立場、夫の立場、父親の立場、地域住民の立場など、立場によっても求められる役割や行動が全然違うし、それぞれの立場で「自分らしく」なんて言ってられなくて、それぞれに求められるミッションも違う。背負うものが多くなればなるほど、いろんなものに「自己」は縛られていく。

 

多かれ少なかれ、自己認識というのは、他者や社会から影響を受けたものだというのが自分の感覚。誰も彼もが「自分らしく」生きていこうとすれば、それはそれでカオスな世界だ。対人関係や組織におけるどんな立場においても「自分らしく」を貫き通すことは困難で、役割を演じているだけのような気がしてならない。

 

 

 

*  *  *

 

実際、こころの中から湧き起こる「自己」というのは、あまり一貫性がなく、その時の感情に左右されることが多い。この歳になっても、一向に「確立された自己」なんて感覚を持ち合わせたことはない。

 

たぶん、心理学とか哲学とかの分野では、小難しい論文がいくつもあるんだろうな。

 

マスローとか、エリクソンとか、フロイドとか。精神科医のサリバンなんかもそうかな。哲学者で言えば、現象学のフッサール、実存主義ではニーチェやサルトル、キルケゴール、ハイデッカーなんて人たち。学生の時に読んだテキストや、ときどきこの分野で読む本に出てくる。自我とかアイデンティティとか自己実現とか、なんやらかんやら・・・原著は読んだことないけど。

 

別にこれらの人たちの著書を読んだところで、「自分の存在」について、突然、鮮明に目が覚めるように「覚醒」するわけではない。ただ、ある程度概念として知っておくと人の心理について整理するには役に立つけど。

 

一体「自分らしく生きる」とは、どういうことなんだろう?

 

 生活に困らない程度に仕事をして、家族を養い、余暇に山に登ったり、バイクで旅したり、文章を書いたり、ときどき繁華街にお酒を飲みにいったり(現在自粛中ですけど・・・)。

 

でも、それが本当に「自分らし」生き方なんだろうか?

 

単なる「自分が楽しむ暮らし」じゃないか。

 

 

 

*  *  *

 

 

自分らしく生きるとは、先進国に暮らす現代人の贅沢な悩みだと思うんだよね。 生まれた国によっては、「生き抜くこと」だけでも難しい国もあるし、お隣の将軍様の国では、自己を表に出しただけで収容所送りだからね。

 

オーストリアの精神科医フランクルは、ナチスの収容所から生き延びた人だ。フランクルは過酷な環境のなかから生きる意味を問い続けた。

 

 

結局、「生きる意味を問い続ける」こと自体が「自分らしく生きる」ということなんだろうか?

 

本当に「自分らしく生きる」とは覚悟のいることのようだ。「個」そのものに立ち返り「孤独」とも向き合う覚悟しなければならない。誰にも頼らず、時に社会に背を向け家族も友人も一旦切り離したところで本当に一人になって、自分の内面の声を聞き続ける。多くのものを失う「代償」も払うだろう。その先にようやく自分と社会や様々な人間関係の中で、自己の存在意味を悟って「自立した自己」となり「自己実現」をめざしていくことで「自分らしく生きる」ということにたどり着くのだろう。

 

一つだけ言えることは、誰かに依存したり、されたりする関係の中で、それは達成するのが困難なことだ。依存されれば振り払い、一方で護るべきものは護る。依存していれば自立する。そういう自覚も求められる。

 

このブログの紹介文にもあるように、50代は子育ても一段落し、パートナーとの関係も変化する。「生き方の方向性」に相違が出てくることだってある。だから「自分自身の人生を取り戻す」ための生き方を考え、実践する最後のチャンスかも知れない。

 

時代も大きく変わろうとしている。丁度いい。

 

グズグズはしていられない。前に進もう。

 

 

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