行きつけのバーのマスターと温泉旅行
先日、もう15年ぐらい通っているバーのマスターと伊勢志摩に温泉旅行に行ってきた。
マスターとは、ときどき出張先で待ち合わせて飲みに行ったり、温泉に行ったりする仲である。歳は自分より10歳ほど上だが、お互い気心も知れていて気を使わないし、話も面白い。
初日はパールロード沿いの牡蠣小屋で牡蠣食って、英虞湾を望むリゾートホテルで一泊。翌日は伊勢神宮をお参りするというザックリとしたプラン。まるで昭和の新婚旅行のような行程だけど、おっさん二人にはこのぐらいの緩さがちょうどいい。
今回は日・月曜日という日程。日曜日のリゾートホテルって、めちゃめちゃ安いのね。東京や大阪のビジネスホテルに素泊まりで泊まる値段で、1月というシーズンオフの季節というのもあるけど、広い部屋に2食付きで泊まれるんだからとってもお得。まあ、お互いお酒が好きで、温泉入って、美味しい肴にうまい酒があれば、正直なんでもいいんだけど。
で、おっさん二人の温泉旅行の話を書いても誰も、何も面白くもなんともないだろうから、適当に写真だけ貼り付けておくので、もし、こちら方面に行くことがあれば参考にしてください。
サラリーマン以外の選択肢
マスターの店は、岐阜の柳ヶ瀬という昔ながらの飲屋街のはずれの美殿町というちょっとデープな雰囲気が漂う飲屋街のビルの地下にある。まず、一見の客がふらっと入れる店構えではないので、客のほとんどは常連客ばかり。
だから、客同士も顔見知りが多く、気軽にゆっくり一人で飲みに行ける店である。
もう開店して20年になるというんだけど、店をやる前のマスターはいろんな職を転々としていたらしい。マスターの歳で関西の有名私大を出ているのだから、それなりの会社に勤めていい給料もらえる人生の選択肢もあったんだろうけど、性格的に自由人で遊び人だから、興味の赴くままに仕事を変えて、バーのマスターに収まったみたいだ。
そこで、ふっと思った。
「おれって、大学を出て就職するとき、何も迷うことなく会社員を選んだよな?」
そうなのだ。自分は大学を出れば、どこかの会社に就職してサラリーマンになるという道以外を考えもしなかった。
そして、サラリーマンになって30年の時が過ぎた。
自分の父親もサラリーマンだった。毎日朝家を出て、夜遅く帰ってくる。エンジニアだった父親は、半年とか1年単位で海外出張もしていた。いわゆる企業戦士だ。
だから自分もどこかの組織に属しながら毎月給料をもらって、いずれ結婚して、家を建てるみたいな絵しか描けなかった。
職業を選ぶ時、どうしても自分の身近な人の影響を受ける。職人の子は職人になり、料理人の子は料理人になり、教師の子は教師になる。親の職業と同じ職業に就いたり継ぐことはよくあることで、家業のないサラリーマンの子はサラリーマンになることが自然の流れなのかもしれない。
旅行中、マスターの店の常連客の話になり、なんとなくどんな仕事をしているのかは知っていたのだけれども、話を聞いてみると結構多様性に富んでいる。
自分で事業を興して社長をしている人、飲食店を何軒も経営している人、一人親方の職人さん、大学教授に市場で買い付けする人。。。
珍しいところではジャズシンガーなんて人もいる。
こういう人に共通しているのは、サラリーマンの数倍稼いでいる。もちろん、たくさんの苦労をしているだろうけど、金の稼ぎ方を知っている。
50歳からの迷走地図を描く作業
サラリーマンは、ある意味会社を儲けさせるために働いているから、あまり自分がどれだけ利益を出しているかどうかは関心ないよね。どれだけ働いて会社に利益をもたらそうと、リターンは知れている。一方で会社が傾かない限りは収入は安定し、福利厚生もあって、社会保険も半分は会社が負担してくれる。法律や制度で手厚く守られている。
自分で稼いでいる人って、働くモチベーションが違うんだよね。競争も激しい。でもリターンはサラリーマンの比ではない。
今の自分は、一応経営には関わっているが、毎月サラリーをもらう勤め人の延長線にいるに過ぎない。
マスターもそうだし、自分で稼いでいる人は自由にみえる。自分で決められる仕事の仕方は憧れる。ただ、自分にはできないとも思う。もう組織のなかで働くことに慣れ過ぎた。組織からプレッシャーを受けないと結果を出せない体質が染み付いた。
子どもが学校を卒業し、家のローンを払い終えるまでは、このまま働き続けるだろう。いやな奴もいる。トラブルばかり起こす部下もいる。自分のいる業界に明るい話題もない。それでも、ここで変な気を起こして起業したり、店を出したりしたら、失敗するのは目に見えている。
ただ、いつまでも組織に頼りすぎる人生も考えものだ。だからあと10年。この10年で次のステージに立つ準備をしよう。
少しずつ投資をしたり、ビジネスのアイディアを試したり、趣味の幅を広げたり。いまのうちからいろいろなスモールチャレンジを重ねておけば、会社を引退した後の楽しみも広がる。
定年になって組織から解放されるのに、雇用延長だとか、再就職とかしたくない。サラリーマンの50歳は次のチャレンジに向かう残された最後の時間だ。そんなことを考えたマスターとの温泉旅行。
まさしく50歳からの迷走地図を描く作業(^^;;
でも、願わくば、今のうちにたっぷり稼いで遊んで暮らしたいけどね。